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2024-05-25SDGs

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の企業実践例

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な生産消費形態を確保することを目指しています。具体的には、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用、食品ロスの削減、廃棄物の発生防止・削減・リサイクル・再利用、企業の持続可能な取り組みの促進などが含まれます。

この目標は、企業活動と直接関連する部分が多く、多くの企業が積極的に取り組んでいます。本記事では、SDGs目標12に関する日本企業の先進的な取り組み事例と、企業が実践するためのポイントを紹介します。

SDGs目標12の概要

目標12:つくる責任 つかう責任

持続可能な生産消費形態を確保する

主なターゲット:

  • 持続可能な管理と天然資源の効率的な利用を達成する
  • 小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させる
  • 廃棄物の発生防止、削減、再生利用、再利用により廃棄物の発生を大幅に削減する
  • 企業に持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する
  • 持続可能な公共調達慣行を促進する
  • 人々があらゆる場所で、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする

日本企業の取り組み事例

多くの日本企業がSDGs目標12の達成に向けて、革新的な取り組みを進めています。以下に、特に先進的な事例を紹介します。

サントリー

2030年までにグローバルで使用するペットボトルを100%サステナブル素材に切り替え

「水と生きる」をコーポレートメッセージに掲げるサントリーは、2030年までにグローバルで使用するペットボトルを100%リサイクル素材あるいは植物由来素材に切り替えることを目指しています。また、国内清涼飲料事業では2025年までにすべてのペットボトル製品に「FtoP(フラッグメントtoペレット)ダイレクトリサイクル技術」を活用したリサイクル素材を使用する計画です。

期待される効果:

この取り組みにより、バージンプラスチック使用量の大幅削減と、資源循環の促進が期待されます。また、消費者の環境意識向上にも貢献しています。

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花王

詰め替え製品の開発・普及とプラスチック使用量の削減

花王は、1991年から詰め替え製品の開発・普及に取り組んでおり、現在では対象製品の約80%が詰め替え・付け替え製品となっています。さらに、「つめかえる」から「つめかえない」へと進化させた「エアインフィルム」容器や、プラスチック使用量を従来比約50%削減した「スマートホルダー」など、革新的な容器包装の開発も進めています。

期待される効果:

詰め替え製品の普及により、プラスチック使用量を年間約7.4万トン削減しています。また、バイオマス由来原料の活用も進め、石油由来プラスチックの使用量削減に貢献しています。

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ユニクロ(ファーストリテイリング)

「RE.UNIQLO」による衣料品の循環利用

ユニクロは、「RE.UNIQLO」プロジェクトを通じて、お客様から回収した服を再生・再利用する取り組みを進めています。回収した服は、①難民・避難民への寄贈、②工業用繊維や燃料などへのリサイクル、③新しい商品としての再生、という3つの方法で活用されています。特に、ダウンジャケットのリサイクルプログラムは、回収したダウンを洗浄・再生し、新しいダウン製品に使用する取り組みです。

期待される効果:

2022年度には全世界で約1,500万点の衣料品を回収し、約1,100万点を難民・避難民に寄贈しました。また、リサイクルダウンの活用により、資源の有効利用と廃棄物削減に貢献しています。

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コクヨ

環境配慮製品の開発と「コクヨグループCSR調達ガイドライン」に基づく調達

コクヨは、製品の原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体での環境負荷低減に取り組んでいます。FSC®認証紙を使用したノートや、再生プラスチックを使用したファイル製品など、環境配慮型製品の開発を進めています。また、「コクヨグループCSR調達ガイドライン」に基づき、サプライヤーと協働で持続可能な調達を推進しています。

期待される効果:

環境配慮製品の売上比率を高めるとともに、サプライチェーン全体での環境負荷低減を実現しています。特に、国産間伐材を活用した「ReEDEN(リエデン)シリーズ」は、国内林業の活性化にも貢献しています。

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イオン

「トップバリュ」でのエシカル消費の推進

イオンは、プライベートブランド「トップバリュ」において、オーガニック・フェアトレード商品の展開や、MSC・ASC認証商品の拡大、環境配慮型包装の採用など、エシカル消費を推進しています。また、「イオン 脱炭素ビジョン2050」に基づき、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減にも取り組んでいます。

期待される効果:

MSC・ASC認証商品は業界最多の品揃えとなり、消費者の持続可能な消費行動を促進しています。また、店舗での食品廃棄物削減や、リサイクル推進により、資源循環にも貢献しています。

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リコー

「コメットサークル™」に基づく製品の資源効率向上

リコーは、1994年に制定した「コメットサークル™」という独自の概念に基づき、製品の資源効率向上と資源循環を推進しています。複合機やプリンターの再生機(リコンディショニング製品)の提供や、使用済み製品・消耗品の回収・リサイクル、製品設計段階からの環境配慮設計などを実施しています。

期待される効果:

2022年度には、使用済み製品の回収率80%、再資源化率99%を達成しています。また、再生機の提供により、新規資源投入量の削減と、製品ライフサイクルでのCO2排出量削減を実現しています。

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企業が実践するためのポイント

SDGs目標12に取り組むためには、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減と、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現が重要です。以下に、企業が実践するためのポイントを紹介します。

1. 製品設計の最適化

製品の設計段階から環境負荷を考慮し、長寿命化、修理可能性、リサイクル容易性を高める設計を行いましょう。また、有害物質の使用削減や、再生可能・再生素材の活用も重要です。

実践例:

  • モジュラー設計による修理・アップグレードの容易化
  • 解体しやすい接合方法の採用
  • 単一素材化によるリサイクル性の向上
  • バイオマス由来素材の活用

2. 持続可能な調達の推進

原材料や部品の調達において、環境・社会に配慮したサプライヤーから調達することが重要です。調達ガイドラインの策定や、サプライヤー評価の実施、認証製品の優先調達などが効果的です。

実践例:

  • CSR調達ガイドラインの策定と運用
  • サプライヤーの環境・社会パフォーマンス評価
  • FSC®認証紙、MSC・ASC認証水産物などの認証製品の調達
  • 地域資源の活用による地産地消の推進

3. 資源効率の向上と廃棄物削減

生産プロセスでの資源・エネルギー効率の向上と、廃棄物の削減・リサイクルが重要です。歩留まり向上や、水の再利用、副産物の有効活用などの取り組みが効果的です。

実践例:

  • 生産工程の最適化による歩留まり向上
  • 水の循環利用システムの導入
  • 副産物・廃棄物の他用途への活用
  • ゼロエミッション工場の実現

4. 持続可能な包装の採用

製品の包装は、必要最小限にしつつ、環境負荷の低い素材を使用することが重要です。過剰包装の削減や、再生可能素材・生分解性素材の活用、リユース可能な包装の採用などが効果的です。

実践例:

  • 簡易包装の推進
  • プラスチック包装の紙・バイオマス素材への切り替え
  • 詰め替え容器の採用
  • 包装材の回収・リサイクルシステムの構築

5. 製品のサービス化(Product as a Service)

製品を販売するのではなく、サービスとして提供することで、資源効率を高め、製品の長寿命化を図ることができます。リース・レンタル・シェアリングなどのビジネスモデルが該当します。

実践例:

  • オフィス機器のサブスクリプションサービス
  • 衣料品のレンタルサービス
  • カーシェアリング
  • ツールライブラリー(工具の共有サービス)

6. 消費者への情報提供と啓発

製品の環境情報を適切に開示し、持続可能な使用方法や廃棄方法について消費者に情報提供・啓発を行うことが重要です。環境ラベルの活用や、使用・廃棄ガイドラインの提供などが効果的です。

実践例:

  • 環境ラベル(エコマーク、カーボンフットプリントなど)の取得・表示
  • 製品の環境性能の見える化
  • 適切な使用・メンテナンス方法の案内
  • 分別・リサイクルのガイドライン提供

サーキュラーエコノミーへの移行

SDGs目標12の達成には、従来の「採取→生産→廃棄」という直線型経済から、「採取→生産→使用→再生→再利用」という循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行が不可欠です。

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル

  1. 循環型サプライチェーン:再生可能エネルギー、バイオベース素材、リサイクル素材などを活用し、有限資源への依存を減らす
  2. 回収とリサイクル:使用済み製品や副産物から資源を回収し、再利用・リサイクルする
  3. 製品寿命の延長:修理、アップグレード、再販、リマニュファクチャリングなどにより、製品の使用期間を延ばす
  4. シェアリングプラットフォーム:製品の共有を促進し、使用率を高める
  5. 製品のサービス化:製品を所有するのではなく、サービスとしてアクセスする

取り組みの効果測定と情報開示

SDGs目標12への取り組みを効果的に進めるためには、取り組みの効果を定量的に測定し、情報開示することが重要です。以下に、主な指標と情報開示の方法を紹介します。

主な測定指標

  • 資源生産性(単位資源投入量あたりの付加価値)
  • 廃棄物発生量と再資源化率
  • 製品あたりのCO2排出量(カーボンフットプリント)
  • 水使用量と水リサイクル率
  • 持続可能な調達比率(認証製品の調達比率など)
  • 製品の長寿命化・リサイクル容易性に関する指標
  • 食品ロス削減量

情報開示の方法

  • 統合報告書やサステナビリティレポートでの開示
  • 環境ラベルやカーボンフットプリントの表示
  • CDP(Carbon Disclosure Project)などの外部評価への回答
  • GRI(Global Reporting Initiative)スタンダードに基づく報告
  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示

まとめ

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、企業活動と直接関連する部分が多く、取り組みの効果も比較的見えやすい目標です。多くの日本企業が先進的な取り組みを進めており、製品設計の最適化、持続可能な調達、資源効率の向上、持続可能な包装の採用、製品のサービス化、消費者への情報提供と啓発など、様々なアプローチで目標達成に貢献しています。

持続可能な生産消費形態の確保は、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減や新たなビジネス機会の創出、企業価値の向上にもつながります。長期的な視点で戦略的に取り組むことで、企業と社会の持続可能な発展を両立させることができるでしょう。

SDGs目標12への取り組み支援

当サイトでは、企業のSDGs目標12への取り組みを支援するためのツールやリソースを提供しています。

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