SDGsの各目標と企業の取り組み事例
持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
企業にとってSDGsへの取り組みは、社会的責任を果たすだけでなく、新たなビジネス機会の創出や、リスク管理、企業価値の向上につながります。本記事では、SDGsの各目標と、それらに取り組む日本企業の具体的な事例を紹介します。
SDGsの17の目標
注目のSDGs目標と企業の取り組み
17の目標の中でも、特に企業の取り組みが活発な目標をいくつか取り上げ、具体的な取り組み内容を紹介します。
目標7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
再生可能エネルギーの導入拡大や、エネルギー効率の向上は、多くの企業が取り組む重要課題です。日本企業の取り組み例として:
- ソフトバンク:2030年度までに事業活動で使用する電力を実質100%再生可能エネルギーに切り替える「自然でんき」の提供
- 丸井グループ:全国の店舗で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替え、RE100を達成
- リコー:事業所のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化推進と、再生可能エネルギー由来電力の調達拡大
目標12: つくる責任 つかう責任
持続可能な生産消費形態の確保は、企業の事業活動に直結する目標です。日本企業の取り組み例として:
- サントリー:2030年までにグローバルで使用するペットボトルを100%サステナブル素材に切り替える取り組み
- 花王:詰め替え製品の開発・普及によるプラスチック使用量の削減と、バイオマス由来原料の活用
- ファーストリテイリング(ユニクロ):使用済み衣料の回収・リサイクル・再利用を推進する「RE.UNIQLO」の展開
目標13: 気候変動に具体的な対策を
気候変動対策は、多くの企業が優先的に取り組む課題となっています。日本企業の取り組み例として:
- 日立製作所:2030年度までにカーボンニュートラル達成、2050年度までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル実現を目指す取り組み
- キリンホールディングス:「キリングループ環境ビジョン2050」に基づく、温室効果ガス排出量削減と、気候変動によるリスク・機会の分析・開示
- トヨタ自動車:2050年までにライフサイクルCO2排出量実質ゼロを目指す「トヨタ環境チャレンジ2050」の推進
目標14: 海の豊かさを守ろう
海洋資源の保全は、特に食品・小売業界を中心に取り組みが進んでいます。日本企業の取り組み例として:
- 日本水産:持続可能な漁業認証(MSC・ASC)の取得と、認証商品の拡大
- セブン&アイ・ホールディングス:プライベートブランド商品でのMSC・ASC認証商品の拡大と、海洋プラスチック問題への対応
- 積水化学工業:海洋プラスチックごみを原料とした高品質な再生材料の開発と実用化
目標15: 陸の豊かさも守ろう
陸域生態系の保全と生物多様性の保護は、特に製紙・化粧品業界などで重要視されています。日本企業の取り組み例として:
- 王子ホールディングス:持続可能な森林経営と、森林認証(FSC®・PEFC)の取得拡大
- コーセー:生物多様性に配慮した原料調達と、森林保全活動「SAVE the BLUE」プロジェクトの推進
- 住友林業:持続可能な木材調達と、生物多様性保全に配慮した住宅・建築事業の展開
日本企業のSDGs取り組み事例
多くの日本企業がSDGsを経営戦略に組み込み、具体的な取り組みを進めています。以下に、複数のSDGs目標に取り組む企業の事例を紹介します。
イオン
「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定し、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指しています。また、MSC・ASC認証商品の販売拡大や、プライベートブランド「トップバリュ」でのオーガニック・フェアトレード商品の展開を進めています。
詳細を見る味の素
「味の素グループビジョン」のもと、アミノ酸の技術を活かした減塩製品の開発や、バイオマス由来の原料活用、フードロス削減に取り組んでいます。2030年までにカーボンニュートラル達成を目指しています。
詳細を見るソニーグループ
「Road to Zero」環境計画に基づき、2040年までに自社オペレーションでのカーボンニュートラル達成、2050年までにバリューチェーン全体での環境負荷ゼロを目指しています。また、テクノロジーを活用した教育支援プログラムも展開しています。
詳細を見る資生堂
「資生堂サステナビリティ戦略」のもと、女性活躍推進や、環境に配慮した容器包装の開発、持続可能な原材料調達に取り組んでいます。2026年までに全事業所での再生可能エネルギー100%使用を目指しています。
詳細を見るパナソニック
「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ、省エネ製品の開発や、再生可能エネルギー事業の拡大、サーキュラーエコノミーの推進に取り組んでいます。2050年までにグローバル全拠点でのカーボンニュートラル達成を目指しています。
詳細を見るユニリーバ・ジャパン
「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」に基づき、持続可能な原材料調達や、プラスチック削減、ジェンダー平等の推進に取り組んでいます。2039年までに製品ライフサイクル全体でのカーボンニュートラル達成を目指しています。
詳細を見るSDGs達成に向けた企業の取り組みポイント
企業がSDGsに効果的に取り組むためのポイントをいくつか紹介します。
- 自社の事業特性に合わせた重点目標の設定:17の目標すべてに取り組むのではなく、自社の事業特性や強みを活かせる目標に重点的に取り組むことが効果的です。
- バリューチェーン全体での取り組み:自社の直接的な活動だけでなく、サプライヤーや顧客も含めたバリューチェーン全体での取り組みを検討しましょう。
- 本業を通じた取り組み:社会貢献活動だけでなく、本業を通じてSDGsに貢献することで、持続的な取り組みが可能になります。
- 定量的な目標設定と進捗管理:具体的な数値目標を設定し、定期的に進捗を測定・評価することが重要です。
- 情報開示と対話:取り組み内容や成果を積極的に開示し、ステークホルダーとの対話を通じて改善を図りましょう。
まとめ
SDGsは、企業が社会的責任を果たしながら持続的な成長を実現するための重要な枠組みです。多くの日本企業が先進的な取り組みを進めており、業界や企業規模に関わらず、それぞれの特性に合わせた取り組みが可能です。
SDGsへの取り組みは、リスク管理や企業価値向上だけでなく、イノベーションの創出や新たな市場開拓にもつながります。長期的な視点で戦略的に取り組むことで、企業と社会の持続可能な発展を両立させることができるでしょう。
SDGs取り組み支援ツール
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